13日に行われた2018年FIFAワールドカップ ロシア大会のアジア最終予選で日本はイラクとアウェイ(中立地)で対戦し1-1で引き分けた。
日本はこの試合前の時点で首位、イラクは5位で既にワールドカップ出場への道は絶たれていた。
この試合はイラクの国内情勢が不安定なため、中立地であるイランの首都テヘランで行われた。
試合は前半8分、本田圭佑が蹴ったコーナーキックに大迫勇也が頭で合わせて先制。
しかし後半28分、日本は守備の連係ミスから最後はマフディー・カーミルに決められ1-1同点に。
その後は得点は生まれず1-1で試合終了。
前半8分という早い時間に先制に成功した日本だったが、2点目を奪うことはできず。
逆にその1点を守り抜こうとする意識もあったのか、イラクに支配される時間も多かった。
そして気温35度超、湿度15%前後、標高約1200メートルという厳しい条件の中行われたこともあり、かなりきつそうだった。
さらに後半には負傷者が続出しそれによって交代枠を使わざるを得なかった。
ハリルホジッチ監督はその予期せぬ負傷交代によって本来準備していたプランを実行できなかったと話している。
それでも今回の采配には疑問点も多かった。
ハリルホジッチ監督は時々賭けの采配に出て失敗するというイメージだある。
また、失点シーンにおいてもキーパーの川島永嗣とDF吉田麻也がお互いにお見合いをしてしまうという凡ミスを犯してしまった。
試合内容を振り返ってみても引き分けという結果は妥当ではあった。
試合前の時点で日本は首位だが、同じ勝ち点16でサウジアラビアとオーストラリアが並んでいた。
ただ、この上位3ヵ国の中で日本だけ1試合少なかったため、格下のイラク相手に勝ち点3を獲得し2位との差をできるだけ広げたいところではあった。
というのも、イラク戦後の残り2試合の対戦相手がこの2位サウジアラビアと3位オーストラリアなのだ。
勝ち点1を得たことで3位以上、つまりプレーオフ進出以上は確定した。
しかし勝ち点1を積み上げるに留まった日本は、2位との勝ち点差はわずかに1で残り2試合を迎える。
2位までが無条件で出場権獲得、さらに3位でもプレーオフで勝てば出場権獲得という条件で日本は現在首位。
そして今回のイラク戦引き分けという結果によって、次節オーストラリア戦に勝利すればワールドカップ出場が決定することとなった。
ワールドカップ出場に王手となった日本代表だが、決して安心できない。
むしろ危ない状況にあるとも言える。
それはこのあと順位表と予選突破条件を確認したうえで解説する。
まず、日本の所属するグループBの現在の順位表は以下の通り。
国名 | 勝ち点(得失点差) |
日本 | 17(+9) |
サウジアラビア | 16(+7) |
オーストラリア | 16(+6) |
UAE | 10(-3) |
イラク | 5 (-3) |
タイ | 2 (-16) |
*上位2ヵ国が無条件で出場権獲得。3位の国はプレーオフへ回る。
数字上4位のUAEまで出場の可能性は残るが、事実上は日本、サウジアラビア、UAEの3ヵ国に絞られている。
この3ヵ国のうち最終順位で上位2ヵ国が無条件で予選突破、3位の国がプレーオフへ回ると事実上考えてよい。
<残り2試合の上位3ヵ国の対戦日程>
①日本
次節 :オーストラリア(ホーム)
最終節:サウジアラビア(アウェイ)
②サウジアラビア
次節 :UAE(アウェイ)
最終節:日本(ホーム)
③オーストラリア
次節 :日本(アウェイ)
最終節:タイ(ホーム)
日本の出場権獲得条件は以下のようになる。
まず、日本は次節のオーストラリア戦で勝てばその時点でワールドカップ出場が決まる。
オーストラリア戦で引き分けか負けても、最終節のサウジアラビア戦で勝てば決まる。
つまり、残りの2戦のうちどちらか1試合勝利すればワールドカップ出場権を手にできるということである。
もし2試合とも引き分けならサウジアラビアとオーストラリアの日本戦以外のもう1試合の結果次第となり、この両国ともそれぞれサウジアラビアはUAE戦で、オーストラリアはタイ戦で勝利を挙げるようなことがあれば日本は3位となってしまうプレーオフ行きになってしまう。
どちらか一方が引き分けなら日本の出場は確定する。
さらに、2戦で日本が1分け1敗の場合。
この場合、日本が負けたチームが日本戦ではないもう1試合の試合で勝ってしまったら同じく日本は3位となってしまう。
もし2連敗してしまったらその時点で3位確定である。
では、条件をまとめてみる。
<日本のワールドカップ出場条件(2位以上で無条件での出場)>
オーストラリア戦○、サウジアラビア戦○
オーストラリア戦○、サウジアラビア戦△
オーストラリア戦○、サウジアラビア戦●
オーストラリア戦△、サウジアラビア戦○
オーストラリア戦●、サウジアラビア戦○
オーストラリア戦△、サウジアラビア戦△ ⇨ サウジアラビアがUAE戦○、オーストラリアがタイ戦○以外の結果
オーストラリア戦△、サウジアラビア戦● ⇨ オーストラリアがタイ戦●or△で日本がオーストラリアを得失点差で上回る
オーストラリア戦●、サウジアラビア戦△ ⇨ サウジアラビアがUAE戦●or△で日本がサウジアラビアを得失点差で上回る
以上が日本が無条件でワールドカップ出場権を獲得できる条件である。
これ以外の結果であれば、日本はプレーオフへ回ることとなり、そのプレーオフで勝利しなければワールドカップへ出場できなくなる。
因みにプレーオフへ回ることになると、まずグループAの3位チームとホーム&アウェイ方式で対戦し、勝利しなければならない。
さらに、今度は北中米・カリブ海予選4位の国とホーム&アウェイ方式で対戦し、これに勝利すればようやく出場権が得られる。
プレーオフへ回ると厳しく長い道のりが待っているので、何としても2位以内に入りプレーオフだけは回避したい。
イラク戦で最低限引き分けたことによって、次のオーストラリア戦か最終節のサウジアラビア戦どちらかで勝てば良いので、ワールドカップ出場に王手となったが、決して楽観視できない。
逆に言い返せば、2戦でどちらにも勝てなかった場合、自力での突破はなくなってしまう。
2戦とも簡単に勝てる相手ではない。
オーストラリアとの対戦だが、日本はワールドカップ予選において5分け2敗と一度も勝てていない。
そのオーストラリアに対してこのような状況での次戦で初めて予選で勝つのはそう簡単ではない。
最終戦のサウジアラビア戦なんてさらに厳しい戦いが予想される。
試合は9月に行うため、中東の猛烈な暑さの中での試合となる。
オーストラリアに勝てず、もしこの最後のサウジアラビア戦で決まるような展開になれば、とても難しいミッションとなる。
仮にだが、日本がオーストラリア戦で勝てずに引き分けるとする。
そして裏で行われるUAE対サウジ戦でサウジが勝つとする。
すると上位3ヵ国の順位は
サウジアラビア 19
日本 18
オーストラリア 17
となった状態で最終戦サウジアラビア戦を迎える。
日本はこの時点で2位となるが、ポイントは裏で行われるオーストラリアが最下位タイと対戦する試合。
オーストラリアはアウェイでのタイ戦こそ引き分けに終わったものの、ホームでのこの試合で勝つ可能性が高いと言える。
つまり、オーストラリアは最終戦で勝ち点3を手にし、勝ち点を20とする可能性が高くなる。
そうなると勝ち点18の日本はサウジアラビア戦で絶対に勝たないと3位となってしまいプレーオフ行きとなってしまうのだ。
これは仮にの話ではあるが、ここまでの対戦を見てみるとそうなる可能性も低いとは言えない。
例えそうならなくても、オーストラリア戦で引き分け以下に終わった時点で、最終戦のサウジ戦で日本は必ず勝つか、負けてはいけない戦いになる可能性は高い。
もしそのような状況になった場合、今の日本代表であれば最終戦アウェイでのサウジ戦で勝つどころか引き分けに終わらせるのも困難かもしれない。
ましてや負けたらプレーオフ行きというものすごいプレッシャーの中で戦わなければいけないのだからかなり難しくなるだろう。
そうなるとなんとしても日本は次のオーストラリア戦で勝って決めなけばならない。
次のオーストラリア戦はまさに、“最終予選の決勝戦” なのだ。
オーストラリアは最終戦がホームでの最下位タイ戦なので日本との試合では引き分けでOKの戦い方をしてくるかもしれない。
失点のリスクを考えながらもいかに得点し勝ち切るかが重要である。
次勝てばワールドカップ出場が決定するというわかりやすい状況だが、勝てなければ逆に一気に追い込まれてしまう。
今の日本代表の状況は、“危険な王手” である。
とにもかくにも、次のオーストラリア戦がすべてという気持ちで臨まなければいけない。
<アジア最終予選グループB残り2戦の日程>
[次節]
8月29日(火)UAE - サウジアラビア
8月31日(木)日本 - オーストラリア
8月31日(木)タイ - イラク
[最終節]
9月5日(火)サウジアラビア - 日本
9月5日(火)オーストラリア - タイ
9月5日(火)イラク - UAE
ご覧の通り、次節ではUAE対サウジアラビア戦の1試合のみ29日に行われ、日本対オーストラリアはその2日後の31日に行われる。
よって、サウジアラビアの結果を知った上で日本はオーストラリア戦を戦う。
もしサウジアラビアがUAEに勝利したら相当なプレッシャーがかかるはず。
ここまでもつれるワールドカップ予選は久々のような気がする。
もうここまで来たら我々サポーターもこの久々にぎりぎりで戦うワールドカップ予選を楽しむしかない。
予選のレベルは違うが、ヨーロッパや南米のようにその各大陸での厳しい予選を勝ち抜いてこそのワールドカップである。
このぎりぎりの予選をモノにしてなんとしてもワールドカップの出場権を獲得してほしいと願っている。